イニシエーション・ラブ

乾くるみ 「イニシエーション・ラブ」を読了。
すごい作品だった。

ヴィレヴァンで平積みで特集されてたのを購入してて中々読めてなかった
んだけど、正月休みもラストの昨日、やっと読めますた。

この作品、読む前からかなりハードルを上げられていた。

・衝撃のラストにびっくり。
・まさかあの展開とは。
・ただの恋愛ものではない。
・絶対に再読したくなる作品。
・はじめて人に薦めようと思った作品です。byふかわりょう(商品帯より)

とまあ、帯のふかわの文句はいいとして、ヴィレヴァンでもかなりよいしょされてた。
正直こうもよいしょされると、どーかなーー??と思いつつ気になったんで購入ってな流れ。


さて、読む前に裏表紙を何気なくみるとそこにはこんな記述が。
「絶対に最後から2行目は読まないで!」

ん??


衝撃のラスト、最後から2行目。。かなり当初とは打って変って展開を警戒しながら
読み始めた。
物語はside-A、side-Bに分かれてる。80年代後半が舞台だから、これはいわゆる
カセットテープをイメージしてるらしい。
※あとがきに本書の中の単語解説があってその中に、この事が書かれていた。
 物語を読み解く大きなヒント。


前置きは飛ばして、結論から言うと、すんごい斬新。面白い。
みんなの感想通り、ほんとただの恋愛ものじゃなかった。
恋愛というか、ミステリーの「トリック」をうまく散りばめて、完成した作品。
そこ、ここでキーワードとか、フラグを探しながら読んで行って、
俺の場合は最後の2行目じゃなくて、最後のページの彼女との思い出が過ぎってる
シーンでおかしさに気付き、そして裏表紙通り最後から2行目で衝撃を受けた。
始め何の気なしにその最後のページを見てて、
気付いた。

「こんな思い出あったっけ???」

そして問題の「ラスト2行目」

ここで詳しく書きたいけど、そんな事をしたら面白みが無くなっちゃう。
ミステリ作家の放った、計算されたトリックがしっかり隠された良作の恋愛物語。
これは読んで初めてわかるよ、凄さが。
上げられたハードルの内容が全て読んだ今なら納得出来る。
全部確かに当て嵌まってる。脱帽です。
かくゆう俺も、これから再読するつもり。あとがきの通り、全く違った物語に変貌し
ますた。
初読の時と比べながら読むと、絶対面白いよ、これ。


内容は抜群なんで、ぐだぐだ説明するよりは「読むっきゃない!」って人に薦めて、
読んだ感想を語り合いたい感じ。ヴィレヴァンありがとうといいたい。


衝撃のラストばかりに目がいきがちだけど、個人的には時代背景も魅力的に映った。
80年代の後半、日本がバブルに向けて躍動してる感じとか、新しいものがどんどん
登場したり、流行を一生懸命皆が追ってる感じとか、恋愛の駆け引きにもとても
緊張や、時間のロスが伴う感じとか。公衆電話だもんね、、当時は。
俺が今24なんで、ちょうど生まれたぐらいの時の話。ちょうど知らないけど興味のある
時代。あとがきの作中に登場した単語の解説が分かり易くてすごく良かったW男女7人
夏物語とか、JRとかね。


再読はほぼ確定。同作者の「リピート」っていう作品も買ってるからそっちも楽しみ。

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)